[OSS紹介#54] time:グローバルな時間管理を簡素化するツールの詳細解説

この記事について

このブログシリーズでは、注目すべきオープンソースソフトウェア(OSS)を定期的に紹介しています。連載第54回となる今回は、時間とタイムゾーンの変換機能を提供する「time」に焦点を当てます。

ソフトウェア開発やデータ処理の現場では、異なるタイムゾーンを扱うことがしばしば求められますが、これに関連する処理は複雑さを伴うことが多いです。特にグローバルな環境で働くチームやシステム間での時間管理は、ミスを引き起こしやすい要因となります。

「time」は、こうした課題を解決するための強力なツールです。このサーバーは、IANAのタイムゾーン名を使用して現在の時間情報を取得したり、タイムゾーン間での時間変換を行ったりすることができます。自動的なシステムタイムゾーンの検出機能も備わっており、設定を簡素化します。これにより、開発者やユーザーは、面倒な時間変換の手間から解放され、より効率的かつ正確に時間を管理することができます。今回の記事では、「time」の基本機能やインストール方法、さらには実際の活用例に触れ、その魅力を詳しく紹介していきます。

リンク:https://github.com/modelcontextprotocol/servers/tree/main/src/time


本コンテンツは、弊社AI開発ツール「IXV」を用いたOSSツール紹介です。情報の正確性には努めておりますが、内容に誤りが含まれる可能性がございますのでご了承ください。

1. timeの機能

timeは、Model Context Protocolに基づいたサーバーであり、主に時間とタイムゾーンの変換機能を提供します。このサーバーを利用することで、LLM(大規模言語モデル)は現在の時刻情報を取得したり、IANAタイムゾーン名を使用してタイムゾーンの変換を行ったりすることが可能です。主な機能は以下の通りです。

1.1 現在の時刻を取得

  • get_current_timeメソッドを使用して、特定のタイムゾーンまたはシステムタイムゾーンの現在の時刻を取得できます。
  • 必要な引数: timezone(文字列形式、例: ‘America/New_York’, ‘Europe/London’)

1.2 タイムゾーン間の時間変換

  • convert_timeメソッドにより、異なるタイムゾーン間での時間変換が可能です。
  • 必要な引数:
    • source_timezone(文字列形式、元のIANAタイムゾーン名)
    • time(24時間形式の時間、例: ‘HH:MM’)
    • target_timezone(文字列形式、変換先のIANAタイムゾーン名)

1.3 自動システムタイムゾーンの検出

  • mcp-server-timeは自動的にシステムのタイムゾーンを検出し、オプションで上書きすることができます。

2. セットアップ手順

timeのインストールは容易で、以下の方法が推奨されています。

2.1 uvを使用したインストール

  • uvを使用する場合、特別なインストールは不要で、uvxを使用して直接実行できます。

2.2 pipを使用したインストール

  • pipを使用して以下のコマンドでインストールできます。
pip install mcp-server-time
  • インストール後は、以下のコマンドでスクリプトを実行します。
python -m mcp_server_time

2.3 環境設定

設定ファイルに以下のように追加することで、Claude.app や Zed、VS Code などの環境で mcp-server-time を利用できます。

Claude.app への設定例

{
  "mcpServers": {
    "time": {
      "command": "uvx",
      "args": ["mcp-server-time"]
    }
  }
}

Zed への設定例

{
  "context_servers": {
    "mcp-server-time": {
      "command": "python",
      "args": ["-m", "mcp_server_time"]
    }
  }
}

VS Code への設定例

{
  "mcp": {
    "servers": {
      "time": {
        "command": "uvx",
        "args": ["mcp-server-time"]
      }
    }
  }
}

2.4 ライセンスと動作環境

  • timeはMITライセンスの下で提供されており、使用、修正、配布が自由に行えます。
  • 動作環境としては、Pythonが必要となりますが、具体的なバージョンについては公式ドキュメントを参照してください。

3. 簡単な使い方

timeを使用する際の基本的なフローは以下の通りです。

3.1 現在の時刻を取得する

  • リクエストの形式は以下のようになります。
{
  "name": "get_current_time",
  "arguments": {
    "timezone": "Europe/Warsaw"
  }
}
  • このリクエストに対するレスポンスは、指定したタイムゾーンの現在の時刻情報を含む形で返されます。

3.2 タイムゾーン間の時間を変換する

  • タイムゾーン間の変換は、次のようなリクエストで行います。
{
  "name": "convert_time",
  "arguments": {
    "source_timezone": "America/New_York",
    "time": "16:30",
    "target_timezone": "Asia/Tokyo"
  }
}
  • レスポンスには、元のタイムゾーンと変換先のタイムゾーンにおける時刻情報が返されます。
{
  "source": {
    "timezone": "America/New_York",
    "datetime": "2024-01-01T12:30:00-05:00",
    "is_dst": false
  },
  "target": {
    "timezone": "Asia/Tokyo",
    "datetime": "2024-01-01T12:30:00+09:00",
    "is_dst": false
  },
  "time_difference": "+13.0h"
}

3.3 使い方のシナリオ

  • 特定のタイムゾーンの現在の時刻を取得したり、異なるタイムゾーン間での時間の変換は、スケジューリングやコーディネーションのための時間関連の自動化を可能にします。

4. 結論

timeは、時間とタイムゾーンの管理を効率的に行うための強力なツールです。簡単なインストール手順と直感的なAPIを備えており、さまざまなアプリケーションでの使用が期待されます。LLMとの統合により、リアルタイムの時間情報を活用した新たな機能を実現することができます。今後の開発や機能追加にも注目が集まるツールと言えるでしょう。