[OSS紹介#21] maturin:PythonとRustを融合させる新たなツールの魅力を探る

この記事について

このブログシリーズでは、注目すべきオープンソースソフトウェア(OSS)を定期的に紹介していきます。第21回となる今回は、PythonとRustを組み合わせたプロジェクトに最適なツール「maturin」に焦点を当てます。

ソフトウェア開発の現場では、言語を超えた統合や、パフォーマンスの向上が常に求められています。特に、Rustの高速性とPythonの柔軟性を取り合わせることができるツールは、開発者にとって大きな魅力です。「maturin」は、そのような要望に応えるために設計され、特にRustインターフェースを持つPythonパッケージの構築と公開を簡素化するための強力なツールです。

「maturin」は、前回調査したPyO3などのバインディングを使用して、RustからPythonへのブリッジを提供します。また、Pythonパッケージを素早く構築できるだけでなく、PyPIへのデプロイも簡単に行えます。これにより、開発者は複数の言語を使用するプロジェクトを効率的に管理し、展開することが可能になります。今回の紹介を通じて、「maturin」を使用することで得られる利点と、どのように現場の開発ワークフローを改善できるかを探っていきます。

リンク:https://github.com/PyO3/maturin


本コンテンツは、弊社AI開発ツール「IXV」を用いたOSSツール紹介です。情報の正確性には努めておりますが、内容に誤りが含まれる可能性がございますのでご了承ください。

1. maturinでできること

maturinは、Rustで開発されたクレートをPythonパッケージとしてビルドおよび公開するためのツールです。具体的には、以下の機能を提供しています。

1.1 Pythonパッケージのビルド

maturinは、pyo3、cffi、uniffiのバインディングを使用して、RustクレートをPythonのホイール(wheel)形式に変換します。これにより、PythonユーザーはRustで書かれたライブラリのパフォーマンスを享受することができます。

1.2 パッケージの公開

構築したパッケージは、PyPI(Python Package Index)に直接公開することができます。これにより、他のユーザーが簡単にインストールできるようになります。

1.3 開発環境の構築

maturinは、開発中のパッケージを現在のPython仮想環境に直接インストールする機能も提供します。この機能を使用することにより、迅速な開発とテストが可能となります。

2. セットアップ手順

maturinを使用するためのセットアップ手順は以下の通りです。

2.1 必要な環境

  • Rustがインストールされていること(Rust 1.64.0以上推奨)
  • Python 3.8以上がインストールされていること
  • pipxがインストールされていること(推奨)

2.2 インストール

maturinはpipxを使用してインストールできます。以下のコマンドを実行してください。

pipx install maturin

もしpipxを使用したくない場合は、以下のコマンドでもインストールが可能です。

pip install maturin

2.3 ライセンス

maturinは、Apache License 2.0およびMITライセンスの下で配布されています。

3. 簡単な使い方

maturinを使った基本的な流れは以下の通りです。

3.1 新しいプロジェクトの作成

新しいCargoプロジェクトを作成するには、以下のコマンドを使用します。

maturin new <プロジェクト名>

3.2 パッケージのビルド

RustクレートをビルドしてPythonパッケージを作成するには、次のコマンドを実行します。

maturin build

3.3 パッケージの公開

作成したパッケージをPyPIに公開するには、次のコマンドを使用します。

maturin publish

3.4 開発環境へのインストール

開発中にパッケージを仮想環境にインストールするには、以下のコマンドを実行します。

maturin develop

4. 結論

maturinは、Rustで構築したクレートをPythonパッケージとして簡単にビルド・公開できる非常に便利なツールです。特に、Pythonユーザーに高性能なライブラリを提供したい開発者にとっては、非常に強力な選択肢となります。セットアップが簡単で、豊富な機能を持つmaturinを活用することで、RustとPythonの連携が一層スムーズになります。