IXV イクシブ 誕生に込めた想い – プログラミングとの出会いから、AIの時代へ

ソフトウェア開発に挑戦する皆さんへ

私が初めて本格的なプログラミングに触れたのは、1980年代半ば、大学時代のことでした。最初に書いたプログラムは「ソーティング(並び替え)」。高校生時代には、ポケコンで占い程度しか作ったことのない私には、数値の配列を整然と並び替えていく様子に、計算機の持つ可能性の片鱗を見た気がしました。

その後、研究室では HITAC というメインフレームコンピュータを使用し、FORTRAN言語で準結晶構造のシミュレーションプログラムを開発しました。当時はプログラムをパンチカードに打ち込んだり、計算機センターに行き缶詰になりTSS端末にひたすら向かいジョブ投入、結果が出るまで、ただひたすら待つ日々を過ごしました。失敗すると、時間とお金が無駄、ゼロになるのです。シミュレーション結果の一つ一つに、大きな期待と緊張を感じながら過ごした日々が、今でも鮮明に蘇ってきます。

大学卒業後、NTTデータに入社し、そこで私の開発者としての経験は大きく広がりました。特に力を注いだのが、オブジェクト指向の研究開発です。当時はまだ新しい概念だったオブジェクト指向に着目し、フレームワークの開発に取り組みました。技術の可能性を追求する中で、「再利用可能なコンポーネント」という考え方が、今日のマイクロサービスやコンテナ技術につながっていくことを、誰も予想していなかったでしょう。

その後、その技術を基盤として、博士号を取得、NTTデータポケットという大企業発のベンチャー企業の立ち上げる機会を得ました。いきなり資本金1億円、32歳で社長をやらせていただきました。そこで開発した「ワンダーポートレット」は、当時の最新技術を結集した製品でした。大企業の安定性とベンチャーの機動性、その両方を経験できたことは、現在の経営にも大きく活きています。

以来35年以上、ソフトウェア開発の現場で様々な経験を重ねてきました。私が最初に書いたソーティングプログラムから、オブジェクト指向フレームワーク、そしてベンチャーでの製品開発まで、技術の進化とともに歩んできました。しかし、「人がコードを書き、人がコードを統合し、人がタスクを分配する」という基本的な開発プロセスは、実はあまり変わっていないのです。

そして今、私たちはAI技術という新たな転換点に立っています。

IXVの開発に着手したとき、私の頭の中には一つの確信がありました。大学時代のプログラミングへの純粋な感動、NTTデータでのフレームワーク開発、ベンチャーでの製品開発、そしてその後の実務経験。「これらすべての知見とAIを組み合わせれば、開発者たちの真の力を解放できるはずだ」という思いです。

私たちのIXVには、準結晶シミュレーションで培った科学的アプローチ、オブジェクト指向フレームワークで実現した再利用性、そしてワンダーポートレットの開発で得た製品開発のノウハウ、すべてが注ぎ込まれています。これらの経験を最新のAI技術と融合させることで、開発者たちの創造性を最大限に引き出す、新しい開発支援の形を目指しています。

私は、今年57歳になります。この57歳という年齢は、テクノロジーの世界では決して若くはありません。しかし、それは同時に、HITACとFORTRANの時代から、オブジェクト指向の黎明期、ベンチャー企業での挑戦、そして今日のAIの時代まで、技術の進化を肌で感じてきた証でもあります。

この経験すべてを、次世代の開発者たちのために注ぎ込みたい。それが私の、そしてIXVの存在意義だと考えています。

開発の未来は、確実に変わります。その変化の先頭に立って、皆様と共に歩んでいけることを、心より楽しみにしております。

株式会社エルブズ 代表取締役社長

田中秀樹