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「送金」が世界を変える、その変える力に期待したい

ベンチャーを20年もやっています。私の場合には、1部上場企業の新規事情をきっかけとして起業するスタイルを取り続けています。ここ数年は、エルブズという法人で高齢者向けアプリケーション「御用聞きAI」に電子マネーを組み合わせるビジネスに取り組んでいました。
わかりにくいと言われたり、ローテクだと言われたり、ニーズがない、社会コストが下げられない、などなどご注意・ご批判・ご要望をたくさん拝聴してきました。そんな私が、すごく悩んでいたことが一つあります。それが電子マネーの送金です。
電子マネーは、資金決済法における前払式決済手段として整理される1コイン1円の電子的な取引システムです。前払式ですので、たとえばスイカ、イコカ、ナナコなどのいわゆるチャージをするタイプのものだと説明するとわかりやすいでしょう。
従来の「お金」は、物理的な制約があったので、窓口やATMで下ろす必要があります。それが銀行だろうと、コンビニだろうと、とにかく物理的な限界があったのです。電子マネーは、この物理的な制約を技術的には突破できています。端的に言えば、Aさんがもつ電子マネーを、Bさんの電子マネーにすることは簡単にできるわけです。
技術的には・・・です。
そう、なぜできないかというと、資金決済法によって、送金が禁止されていたのです。電子マネーは、事業者登録が必要であり、またその登録はそんなに簡単にできるものではなく、銀行と同じくらいのセキュアな体制が求められます。それをすべて行ったとしても、送金が認められていなかったのです。これは、送金の禁止が、マネーロンダリングを始めとした犯罪などの防止策として、非常に有効であるためです。
ながらくこの送金の禁止は、銀行以外の企業・ベンチャーにとっては、当然のことであり、突破できないルールの壁でした。
それが、日経新聞の報道ではありますが、金融庁が動きはじめるかもしれないそうです。
100万円超す送金、銀行以外でも 認可制で参入可能に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41430460Y9A210C1MM8000/
何故かトップニュースではないのですが、私個人の意見ですけれども、この送金は、世界を変えると考えています。この緩和が行われた段階で、大きなお金を取り扱う銀行と、小さな送金を担う「企業」のふたつの役割に構造がかわると考えています。「企業」とかっこがきで書いたのは、それがベンチャーなのか、従来の企業なのかはわからないからです。
以前、M銀行グループ様が、法人と個人に法人をわけたことがあったのですが、ちょうどそのようなイメージでしょうか。「企業」もまた銀行などの金融グループが担うかもしれません。私は、そこではなく、社会構造が変わるというところに大きなうねりを感じます。
当社がそのなかでどのような立ち位置になるのか、たくさんの方と議論して決めてまいりたいと思います。