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この記事について
このブログシリーズでは、注目のオープンソースソフトウェア(OSS)を定期的に紹介していきます。連載第64回となる今回は、JavaScript開発環境をより快適に管理するためのツール「Volta」に焦点を当てます。
現代のソフトウェア開発において、プロジェクトに適した環境を整えることは、効率的な開発を実現する上で非常に重要です。特に、JavaScriptのエコシステムは多様で、さまざまなパッケージマネージャやツールが存在します。その中で、開発者の作業フローを妨げずに、統一された環境を提供する「Volta」は、注目に値する存在です。
「Volta」は、プロジェクトごとに必要なツールやバージョンの管理をシームレスに行え、すべての主要なオペレーティングシステムで動作します。このツールを使うことで、開発者は複雑な環境構築から解放され、本来のコーディングに集中できるようになります。本記事では、Voltaの特徴や利点、実際の使用方法に加え、コミュニティからの貢献についても触れていきます。
リンク:https://github.com/volta-cli/volta

本コンテンツは、弊社AI開発ツール「IXV」を用いたOSSツール紹介です。情報の正確性には努めておりますが、内容に誤りが含まれる可能性がございますのでご了承ください。
1. Voltaでできること
Voltaは、JavaScriptツールの管理を簡素化するために設計されたツールです。以下の機能が特長です。
1.1 スピード
VoltaはRustで構築されており、迅速でスムーズなツールのインストールと実行が可能です。
1.2 プロジェクトごとのバージョン切り替え
プロジェクトごとに異なるツールのバージョンをシームレスに切り替えることができ、開発環境を統一します。Voltaは、現在のディレクトリに基づいて作業しているプロジェクトを認識し、自動的に適切なバージョンのツールにルーティングします。
1.3 クロスプラットフォームサポート
WindowsやすべてのUnixシェルを含むクロスプラットフォームで動作し、環境に依存しない使用が可能です。
1.4 複数のパッケージマネージャーのサポート
Node以外のパッケージマネージャーにも対応しており、柔軟な開発環境を提供します。
1.5 安定したツールのインストール
Nodeのアップグレード時に再インストールが不要で、安定した運用が実現されます。
1.6 拡張性
サイトに特化したカスタマイズが可能な拡張性フックを提供しています。
1.7 安全性と利便性
Voltaのツールチェーンは、作業しているプロジェクトの設定を常に尊重します。これにより、プロジェクト間の切り替え時にインストールされているソフトウェアの状態が変更される心配がありません。
2. セットアップ手順
Voltaをインストールするための手順は以下の通りです。詳細な説明はGetting Started Guideを参照してください。
- 動作環境: Voltaはクロスプラットフォームで動作し、WindowsやUnix系OSで利用可能です。
- ライセンス: Voltaはオープンソースソフトウェアであり、GitHub上での開発が行われています。
2.1 Unixにおけるインストール
ほとんどのUnixシステム(macOSを含む)では、以下の単一コマンドでVoltaをインストールできます。
curl https://get.volta.sh | bash
このインストーラーは、bash
、zsh
、およびfish
シェルのスタートアップスクリプトを自動的に更新します。スタートアップスクリプトを変更したくない場合は、Skipping Volta Setupを参照してください。手動でVoltaを使用するためにシェルを設定するには、コンソールスタートアップスクリプトを以下のように編集してください:
– VOLTA_HOME
変数を$HOME/.volta
に設定する。
– $VOLTA_HOME/bin
をPATH
変数の先頭に追加する。
2.2 Windowsにおけるインストール
Windowsでの推奨インストール方法は、wingetを使用することです。
winget install Volta.Volta
また、インストーラーを直接ダウンロードして手動で実行することも可能です。
2.3 Windows Subsystem for Linux
Windows Subsystem for Linux内でVoltaを使用している場合は、上記のUnixインストールガイドに従ってください。
2.4 デフォルトNodeバージョンの選択
このバージョンは、固定バージョンのプロジェクト以外でVoltaが常に使用します。特定のNodeバージョンを選択するには、次のコマンドを実行します。
volta install node@22.5.1
または、最新のLTSバージョンを使用するには、以下のコマンドを実行します。
volta install node
3. 簡単な使い方
Voltaの基本的な使用法については、Understanding Volta Guideを参照してください。以下に基本的なコマンドを示します。
3.1 ツールのインストール
Voltaを使ってツールをインストールするには、次のコマンドを実行します。
volta install <tool-name>
ここで、<tool-name>
にはインストールしたいツールの名前を指定します。
3.2 プロジェクトに特化した設定
プロジェクトごとに異なるツールのバージョンを管理するためには、プロジェクトのルートディレクトリで次のコマンドを実行します。
volta pin <tool-name>@<version>
これにより、指定したバージョンのツールがプロジェクトに固定されます。例えば、Nodeエンジンやパッケージマネージャーのバージョンを固定する場合、次のコマンドを用いることができます。
volta pin node@20.16
volta pin yarn@1.19
これにより、全員が同じツールバージョンを使用することが保証されます。
3.3 ツールの更新
インストールしたツールを更新するには、以下のコマンドを使います。
volta update <tool-name>
3.4 プロジェクトツールの使用
プロジェクトで使用するパッケージバイナリも、そのプロジェクトの設定を基に適切なバージョンへ切り替えられます。たとえば、TypeScriptのインストール後にプロジェクトごとに異なるバージョンを使用する例があります。
結論
Voltaは、JavaScript開発におけるツール管理を簡素化し、効率的な開発環境を提供します。クロスプラットフォーム対応やプロジェクトごとのバージョン管理が可能なため、チーム全体での一貫性を保ちながら、個々の開発者のワークフローを妨げることなく利用できます。是非、Voltaを導入して、快適な開発環境を実現してください。