[論文紹介#37]エージェントデザインパターンカタログ:基盤モデルに基づいたエージェントのためのアーキテクチャパターン集

本日の論文

この論文は、基盤モデルに基づくエージェントの設計に関する18のアーキテクチャパターンを体系的にまとめ、実践者が効果的にエージェントを開発するためのガイダンスを提供するものです。

AGENT DESIGN PATTERN CATALOGUE :A COLLECTION OF ARCHITECTURAL PATTERNS FOR FOUNDATION MODEL BASED AGENTS

以下は、3つのLLMエージェントを組み合わせて論文の内容を要約したものになります。

要約

この論文では、基盤モデルに基づいたエージェントの設計に関する18のアーキテクチャパターンを提案しています。これらのパターンは、エージェントがユーザーの目標を達成するための計画生成や目標追求を支援するために、文献レビューを通じて特定されました。特に、エージェントは複雑なタスクを理解し実行する際に直面する課題や、説明責任、信頼性といった問題に対処するための設計指針を提供します。このカタログは、ソフトウェアアーキテクトや開発者が実際のエージェント実装に役立てることを目的としています。今後は、提案されたパターンと既存のパターンを結びつけ、エージェントの信頼性を高める方法を探求する予定です。

基盤モデルに基づくエージェントデザインパターンカタログ

1. はじめに

基盤モデル(Foundation Models, FMs)の進展により、生成型人工知能(GenAI)を活用した自律的なエージェントの開発が進んでいます。しかし、エージェント設計に関する体系的な知識が不足しており、目標設定や計画生成において多くの課題に直面しています。本カタログでは、基盤モデルに基づくエージェントの設計に役立つ18種類のアーキテクチャパターンを提案します。

2. 背景と関連研究

基盤モデルの発展に伴い、特に大規模言語モデル(LLMs)の登場が注目されています。これにより、自律エージェントの開発は加速していますが、エージェントの設計には依然として多くの技術的課題が残されています。これまでの研究は特定のコンポーネントや手法に焦点を当てがちで、全体的なアーキテクチャに関する包括的な理解が不足しています。

3. 方法論

文献レビューを通じて、基盤モデルに基づくエージェントに関する57件の研究を特定し、データを抽出しました。このプロセスにより、エージェント設計におけるパターンを特定しました。

4. エージェントデザインパターン

以下は、提案された18のエージェントデザインパターンの概要です。

  1. 受動的ゴールクリエイター: ユーザーの入力を分析し、明示的な目標を設定する。
  2. 能動的ゴールクリエイター: ユーザーの意図を予測し、必要なコンテキストを収集して目標を設定する。
  3. プロンプト/レスポンス最適化: ユーザーの目標に沿ったプロンプトとレスポンスを生成する。
  4. 検索強化生成(RAG): 最新の情報を取得し、プライバシーを保護する手法。
  5. 一回モデルクエリ: 一度のクエリで目標達成に必要な全ステップを生成する。
  6. 増分モデルクエリ: 各ステップでモデルをクエリし、逐次的に情報を取得する。
  7. 単一路線計画生成: 目標達成のための一連の中間ステップを生成する。
  8. 複数経路計画生成: 各中間ステップで複数の選択肢を生成し、ユーザーの好みに応じた計画を提供する。
  9. 自己反省: エージェントが自身の計画と推論プロセスを評価し、改善案を提供する。
  10. クロス反省: 異なるエージェントからのフィードバックを用いて計画を改善する。
  11. ヒューマン反省: 人間からのフィードバックを収集し、計画を改良する。
  12. 投票ベースの協力: エージェント間で意見を表明し、合意に達する。
  13. 役割ベースの協力: 異なる役割を持つエージェントが協力して決定を行う。
  14. ディベートベースの協力: エージェントが意見を交わし、合意に達するまで議論を行う。
  15. マルチモーダルガードレール: エージェントの入力と出力を制御し、倫理基準や法律を満たす。
  16. ツール/エージェントレジストリ: さまざまなエージェントやツールを選択するための統一されたソースを提供。
  17. エージェントアダプター: エージェントと外部ツール間のインターフェースを提供する。
  18. エージェント評価者: エージェントの性能を評価し、テストを実施する。

5. 考察

提案されたパターンカタログは、エージェント設計の信頼性を高めるために責任あるAIパターンと組み合わせて利用できます。また、エージェント設計において国際的な規制や基準への準拠が重要であることが強調されます。

6. 結論

本研究は、基盤モデルに基づくエージェントの設計に関する包括的な指針を提供することを目的としており、今後は提案されたパターンを用いてエージェントの信頼性を保持するための研究が進められる予定です。