我が青春のペンローズ

少し恥ずかしいタイトルをつけました。そんな恥ずかしいタイトルをつけないといられないくらいのニュースが飛び込んで来ました。ロジャーペンローズ博士が2020年のノーベル物理学賞に選ばれました。ロジャーペンローズ博士の数ある功績の中で、ブラックホールの理論的証明がその受賞理由だそうです。

ロジャーペンローズ博士は、ペンローズの三角形、ペンローズの階段などでも有名です。

若かりし頃の私は、ロジャーペンローズ博士が考案されたこちらの幾何学模様と日々格闘しておりました。

ペンローズタイルと言います。2つの菱形が組み合わされた不思議な幾何学模様で、この構造を持つ物質が、結晶ともアモルファスとも異なる「準結晶」という特別な構造であることがわかりました。私は、このコンピュータシミュレーションを日々やっていたのです。

本当に不思議で、わくわくしながら、でも、苦しみながら研究をしていました。大学を出た後も、どうしても気になって、社会人になってから再度大学に戻ったのも、このペンローズパタンと準結晶構造が脳みその半分くらいを占めていたからでした。

私にとって特別な年である2020年に、ペンローズパタンの考案者であるロジャーペンローズ博士がノーベル物理学賞を受賞したというニュースは、とても感慨深いものがあります。

今も、自宅には、そのときの研究データが入ったMTがあります。今のようにコンピュータが一般的では無かったあの日。MTをもって計算機センターに出向き、ゴーという空調の爆音の中、プリンタ出力されたプログラムと書くというしていたあの日。NECのPC98Hというマシンで、計算機センターにジョブを投入したあの日。

どれもこれも、私の青春の1ページでした。

残念ながら私はロジャーペンローズ博士と面識はありませんが、多くの時間をペンローズパタンとコンピュータシミュレーションに費やしたことが私からすると、今回のニュースはまるで知っている方が受賞されたかのような飛び上がるほど嬉しいニュースでした。

最近は、準結晶構造やコンピュータシミュレーションからは縁遠い生活をしておりますけれども、時間を作って、当時の資料等読み返したいなと思います。