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ワインバーグの書籍

記録も兼ねてワインバーグの書籍でもご紹介しようかなと思います。

ワインバーグってだれ?
まず、ワインバーグは、こんな人です。

Gerald Marvin Weinberg(wikipediaより

  • 作家、心理学教師、ソフトウェア開発の人類学者
  • 著作、『プログラミングの心理学』(原題:The Psychology of Computer Programming)、『一般システム思考入門』(原題:Introduction to General Systems Thinking)の二冊は、情報科学分野の古典となっている

という感じです。ソフトウェアとかコンサルティングとかに携わる人が、さらっと読み物として楽しむことができる、そんな書籍を多数だされています。最初に手にしたのは、2000年頃だったような記憶が有りますが、幾多のブックオフさんへの書籍売却の難を逃れ、今もほぼ全巻手元にあるという私の中では大切な本たちの著者だったりしています。

ワインバーグのシステム思考法


一冊目に持ってきた理由は、特にないのですが、「ソフトウェア文化を創る」シリーズの第1巻であることとなります。1994年ごろに翻訳されているようですが、訳語にもかなり気を遣っていることがよくわかります。これからご紹介するワインバーグの書籍は、多くがそうなのですが、法則が多数登場します。時には、規則や、原理ともよばれるようですが、その差はよくわかりません(笑)

「政治的ジレンマ」ある人にとってのより良い品質は、別の人にとってのより悪い品質を意味する

システム思考法では、こんな法則が紹介されたりしています。システム開発の中では、このような状況は多々発生するわけですが、システム思考法では、あるあるなパターンをずばっと書いてくれていたりします。個人的には、このシリーズの中で一番密度が濃いというか、お買い得に感じた本でした。

ワインバーグのシステム洞察法


少し面白い切り口なのですけれども、「観察」について書かれた巻ということになります。単体でも読めなくはないのですが、システム思考法を読んでからのほうが、流れで読みやすいと思います。この書籍の一番最初に書かれている、計測の前には観察が必要である、なんて言葉は結構ステキだなと思ったりすのですけれども、数値データでバグ発生率を見る、、、前に、システム開発全般について、じっと解説しろよってのは、統計データ取るときの鉄則だよね、とか思ったりもします。一番最後にソフトウェア工学の文化パターンの分類がわかりやすく書かれていて、少々古めかしい巻はあるものの、今も本質はかわらないよね、と思うというか、ふっと、わらってしまうような部分も多々あります。

ワインバーグのシステム行動法


3冊も続くと、今度は何方だよ、といいたくなりますが、今度は行動法です。実際の中身は、行動とは少し印象の違う「管理」のことについて紹介されます。特に中盤に登場する

避難の中毒をやめさせる

は、いろいろな形で紹介されているものでは有りますが、やはり勉強になります。またワインバーグは、現実主義者に近いところがあり、この避難をなくすことはできない、と言い切っていたりします。個人的には、現場で起きていることを理解した上で、本とか出して欲しいので、こういう姿勢は大好きです。

ワインバーグのシステム変革法


ソフトウェア文化を創るシリーズの最後になります。システム開発のみならず、例えば新規事業想像のための組織変革などにも使える情報が多々紹介されています。特に、この書籍の基本ともなっているサティアの変革モデルは、一度頭に入れておくといいかなと思います。簡単に書くと、

  1. 今までの状況
  2. カオス
  3. 統合と慣行
  4. 新しい状況

という4つのステージで変革が変わるというモデルです。当然のことながら、4は、再度1に戻り、変革が繰り返されるわけですが、例えばこの変革の中の要件(定義)プロセスから製品(開発)に至るまでの間で、下記図のように顧客との相性なんてものがあがっていたりします。
相性
一方で、この顧客との相性なんてものを、どまんなか最重要には持ってきていないので、その筋の良さというか、バランスの良さがすごいなと思ったりします。以前、とある学会で、人間の部分について踏み入ったらそれはもうソフトウェア工学ではなくなる、というお話を拝聴した時があるのですが、結局私達が必要なのは、ソフトウェアをよどみなく、問題を少しでも少なくしつつ開発することのがゴールであるので、必要に応じてこういう人間臭い部分にもどっぷりと踏み込んでほしいなと思うのです。そういう意味で、ワインバーグは、とても痛快です。